27話

ザイドは廊下をまっすぐ進み、野外円形劇場と小さな職員用駐車場へ続く裏口から出て行った。分別に反して、私も同じ方向へ向かう。もし彼に尾行していることがバレても、池まで散歩して読書するつもりだと言えばいい。スマホとKindleアプリを持っているし、誰にも否定できないだろう。

裏口のドアはステンドグラスで覆われ、鮮やかな色彩で描かれた泣く天使の姿が鉛線で縁取られていた。光は通すが、外からの視線は遮っている。念のため一分ほど待ってから、私はこっそり外に出て、駐車場が見える場所まで砂利道を進んだ。

「おいおい、ヴァンダービルト、感心するぜ」ザイドは口笛を吹き、刺青の入った指をぴったりとした黒いジーン...

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