第115章仕事と介護の両立

その日もいつもどおり、キリアンが彼女の荷物を届け終え、帰ろうとしたときのことだった。

レナはいきなり駆け寄り、背後から彼に抱きついた。

「レナ」キリアンは彼女の手を押さえ、振り向こうとした。だが彼女が止める。「動かないで。少しだけ……ほんの少しだけ、こうして静かに抱きしめさせて」

キリアンは逆らえず、身体の力を抜いて、彼女の腕に身を委ねた。

「どうした? 何か悩みでもあるのか。それとも、何か厄介ごとに巻き込まれた?」

「何でも言っていい。ひとりで抱え込むな」

レナは泣き出しそうになり、彼の背中に顔を押しつけた。

「ううん……ただ、いつもそばにいてくれて、ありがとうって言いたかった...

ログインして続きを読む