第138章「優しさのあと」

「起きてるか?」

キリアンは手にしていた書類を置き、椅子ごとこちらへ向き直った。目尻に浮かぶ笑みがやけに眩しくて、レナの頬がかっと熱くなる。

レナはキリアンを睨み、それから机の上の食事の容器に視線を落とした。数歩で近づく――腹が減って仕方なかった。

「温かいの?届いたばかり?」

容器に触れてまだ温もりが残っているのを確かめ、レナは訝しげにキリアンを見る。

「さっき温めた。もうすぐ起きると思ってな」

キリアンの瞳には笑みが宿り、レナへ向ける視線はやたらと優しい。

「もう、いい」レナは、関係を持ったあとに彼がまとわりつくような目で見てくるのが耐えられなかった。心臓が落ち着かない。

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