第15章狂ったイザベラ

ゾーイが主治医の言葉に反応を示したのは、これが初めてだった。

レナはゾーイの小さな頬をそっと撫で、抱き寄せたまま腰を下ろし、待つことにした。

不意に次の瞬間、静まり返っていた廊下に、ハイヒールが床を叩く速く重たい音が響きわたった。

「レナ、あんたって本当に芝居が上手いわね!」

強い香水の匂いをまとったイザベラが、怒りに任せてレナの前へ突進してきた。

顔を上げなくても、どんな表情をしているかくらい、レナには想像がついた。

「カレンさん、何の用ですか?」

レナは穏やかな声のまま、反射的にゾーイの顔を胸に押しつけた。

「よくもそんなこと聞けるわね?」イザベラの声には怨嗟がこもっていた...

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