第176章:セキュリティ

レナが周囲の人間の噂話を耳にしていなければ、それは冗談だと思ったに違いない。

仕事だけでも手一杯なのに――どうして妊娠なんてあり得るのだろう。しかも彼女とキリアンの間には、すでに四人も子どもがいる。彼女はずいぶん前から、それで十分だと満ち足りていた。

けれどキリアンは意外なほど落ち着いていて、レナに微笑みかけた。

「もし本当に妊娠してるなら、その子は産もう」

レナは思わず彼をにらみつけ、苛立ちを隠しもしない。

「会社じゃ噂があっという間に広がってるのに、あなたは何もしない。私をみんなのゴシップの的にしたいわけ?」

不機嫌そうな顔を見て、キリアンはすぐさま彼女を腕の中に引き寄せ、宥めるよ...

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