第55章トラッキング

電話を切ったあと、レナの視線はふと足元の芝へと滑った。

そこに、運転免許証が静かに落ちていた。端にはかすかな靴跡がにじんでいる。

きっと、あの男が慌てて立ち去ったときに落としたのだろう。

レナは身をかがめて拾い上げ、男が去っていった方角を見た。

まだ遠くへは行っていないはずだ。

しばらく迷った末、レナは追うことに決めた。

交差点で、男は石のブロックにしゃがみ込み、背を向けたまま電話をしていた。

近づこうとしたそのとき、男の言葉が風に乗って耳へ届いた。「心配すんな、写真は全部撮った。あとで会う? ああ、ちゃんとブツは届けるから」

写真……?

一歩踏み出しかけたレナは、ふと何かを...

ログインして続きを読む