第78章ブラックウェル・シンジケート・フォックス

彼はしゃがみ込み、それを拾い上げた。かすかな匂いが鼻をかすめる。

この匂いには覚えがある……。

一方そのころ、レナは帳簿を抱えたまま、身を潜めるようにして帰路を急いでいた。

マックスはソファでだらりとくつろいでいた。

彼女が入ってきたのを見た瞬間、顔にはぱっと笑みが灯った。だがその目の奥には、不安の色が濃く沈んでいる。

「ママ、やっと帰ってきた!」

レナはちょうど玄関をくぐったところだった。その声を聞き、振り返って彼を見る。

怯えと気遣いが滲む瞳に、胸がふっとほどけた。

「待ってたの?」

「うん、ママ。本当に心配だったんだ」マックスは真剣に言いながら立ち上がり、彼女の服につい...

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