第82章信頼の崩壊

倉庫から逃げ出したあと。

二人は、人目につきにくい場所にひっそりと建つ、打ち捨てられた工場を見つけた。

「ここなら誰も来ない」レナはそう言うと、どさりと地面に崩れ落ちた。呼吸はまだ整わず、汗が可憐な顔をびっしょり濡らしている。

キリアンも荒い鼓動を鎮めようとしていた。彼女の隣に腰を下ろせる場所を見つけ、そこに座る。

「どうしてこの場所を知ってる? 前もって下見してたのか?」

その問いに、空気が張りつめた。

キリアンは逃げ道を塞ぐように彼女をじっと見据え、説明を求める視線で逸らさせない。

だが、レナは目を背けた。

「ねえ、今は死にかけたばかりよ。そんな話をしてる場合じゃない」

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