第9章

 足がもつれた。けれど、振り返らなかった。

 背後で、重い何かが大理石に叩きつけられる鈍い音がした。ペイジの悲鳴は途中で途切れ、痛みに堪える嗚咽へと変わる。

「近寄るな! 俺がお前のことなんか気にしてるとでも思ったのか!?」

 コービンが咆哮していた。視界の端に映る――代役の腕を掴み、そのままローマ風の円柱へと投げつける姿が。

 ドンッ。

 ペイジは床に崩れ落ち、黒縁眼鏡は真っ二つに折れた。肩を押さえ、震えている。

 コービンは彼女に目もくれなかった。血走った目は、逃げていく私の背に釘付けだ。

「スローン!」

 掠れた叫びとともに、彼がこちらへ飛びかかってくる。

 ゼインが...

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