第6章

午前二時。ノートパソコンのスクリーンが放つ青白い冷たい光が、データ分析に集中する私の顔を照らしていた。絵里はとっくに眠りに落ち、寮は静まり返っていて、聞こえるのはキーボードを叩く音と、ハードドライブの唸りだけだった。

この一ヶ月、私は拓也の行動を観察し続けていたが、今や、不安にさせるような事実をあまりにも多く発見してしまったのだ。

始まりはほんの偶然だった。拓也は私のそばでスマホをいじる時も隠そうとせず、通知がポップアップするたびに、送り主や内容の一部がちらりと目に入った。それに、彼らのSNS上での公なやりとりを組み合わせることで、私は少しずつ全体像を把握していった。

「高橋沙耶...

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