第9章

四年後。

まさかこの場所に戻ってくることになるとは思わなかった。

母校の駐車場に立ち、見慣れた校舎を眺めていると、まるで別世界のできごとのように感じられた。四年前、私は優秀な成績といくつかのトップクラスのテック企業からの内定を手にここを卒業した。今、私は電子街にある量子技術株式会社でシニアアーキテクトとして十五人のチームを率い、当時は想像もできなかったほどの給料を稼いでいる。

人生は順風満帆。とても、うまくいっている。

同窓会に出席するつもりはなかったのだが、学科の教授たちが、ぜひ大学に戻って講演をしてほしいと何度も誘ってくれたのだ。「後輩たちに刺激を与えてやってくれ」と、...

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