第14章 空気抜き

綾辻真之視点

栗山杏美さんは盛天グループのビルを見上げ、眉をつり上げて俺に聞いた。

「あなたのお母さん、ここで働いてるの?」

俺はうなずく。

「うん。ここでちょっと待ってて。届け物だけ済ませたら、すぐ出てくる」

杏美さんは笑いながらスマホを放ってよこした。

「焦らなくていいよ。ゆっくり届けて、お母さんと少し話してきてもいい。私、ちょっと寄るところがあるんだ。たぶん三十分くらい。見つからなかったら電話して」

俺は受け取って、もう一度うなずいた。

社内に入ると受付に声をかけられ、俺は用件と名前を伝える。相手は端末で確認し、ママは今、十五階にいると言った。

礼を言ってエレベーター...

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