第15章 綾辻真之の疑惑

 綾辻真之視点

 二人の足音と会話が遠ざかっていくのを聞きながら、俺はその場に立ち尽くしていた。

 ――今、なんて言った?

 彼が……霧島雲?

 俺が助けたあの人が、霧島雲だったっていうのか。

 五年前に女を抱いたとか、俺が子どもの頃の自分に少し似てるとか……梨花町にわざわざ行った理由は何だ?

 まさか――ママを探しに?

 その発想に辿り着いた瞬間、背中にざわりと鳥肌が立った。

 でも、だったらどうして怪我なんかしていたんだ。

 そもそも、あれは何だったんだよ。

 分からない。分からないのに、霧島雲の話を聞いてからというもの、俺と彼がどこか似ている気がしてならない。

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