第16章 虎の威を借る

 綾辻絃葉視点

 上田雄大が遠野陽を怖がっているなら、私が遠野陽と親しいと知った時点で、上田はきっと私たちの関係を勘ぐる。

 そうなれば、今後あいつが私をいじめようとしても、多少は手を出しづらくなるはずだ。

 仕方ない。今の私に頼れるものなんて、ほとんどない。だからこういう小賢しい手しか残っていない。

 霧島雲の名を借りるのも考えた。けれど、私みたいなのじゃ、そもそもまともに口も利けない相手だ。威を借りるどころか、笑い者になるのがオチだろう。

 案の定、上田雄大の顔色が露骨にこわばった。

 何か言い返したそうに口を動かしかけたが、遠野陽がいるのが気になるのか、結局は冷たい目で私を...

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