第19章 妊娠していない

 綾辻絃葉視点

 なんだか私は、この世界のどこにも馴染めていない気がする。

 けれど同時に、あの人のことがますます気になった。

 ひとりに「いい人だね」と言われたって、それが本当とは限らない。十人でも、まだ分からない。

 でも百人、千人――会う人会う人が口を揃えてそう言うなら。

 それはつまり、本当に「いい人」なんだろう。

 だから、好きかと聞かれれば違うのに、友だちみたいな親しさだけは妙にある。

 今度時間ができたら、あの子たちとも少し話してみよう。人の人生を聞くのも、案外いい勉強になるし。

 コーヒーができあがる。店からのおまけ分も受け取って、私は遅れたら減給されるんじゃ...

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