第24章 黒鳴蓮夜

霧島雲視点

 ふつうに考えれば、男女が一度ベッドを共にした程度で、人生の根っこまで絡みつくほど深く結びつくことなんてない。ここは何もかもが軽く流れていく、せわしない時代だ。

 ――けれど、子どもは違う。

 彼女は子どもの存在を隠しながら、同時に、私が父親だという事実だけは少しずつ受け入れ、認めている。口にしないまま、じわじわと。そうやって私の手を必要としている。

 そのことに気づいた瞬間、なぜだか滝川天裕の気持ちが、うっすら分かった気がした。たぶん、本物の恋は、時間にすり減らされない。

 記憶の欠片が、ゆっくりと浮かび上がる。脳裏をよぎるのは彼女の姿――全身を血で濡らしながら、それ...

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