第29章 裏切り

 橋本真央視点

 夜。

 ようやく両親が病院に顔を出した。

 ベッドの脇に立った母は、私の具合より先に問いただす。

「なんでこんな遅くまで帰ってこなかったの」

「ごめんなさい、お母さん。わざとじゃないの。昼間、真之くんと遊んでたときに、私……急に倒れちゃって。心配した真之くんが病院に連れてきてくれたの」

 母は眉をひそめる。

「どうしてそんなに不注意なの。自分の体の管理もできないの? あなた――」

 そこへ医者が入ってきて、私たちを見比べた。

「お二人が、この子の保護者ですか」

 久保美咲が小さくうなずく。

 医者は露骨に顔をしかめた。

「ずいぶん呑気ですね。高熱が出...

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