第31章 誘拐

 橋本高志視点

「何だって? 明日、もう仕掛けるのか?」

 久保美咲はうなずいた。

「よく考えたら、おかしい点がいくつもあるの。考えてみて。橋本真央はあんたに脅かされて、半泣きで真之に電話したんでしょ。でも通話中の相手の反応、変だと思わなかった?」

 俺は記憶をたぐった。

「つまり……あいつ、冷たすぎたってことか?」

「そう。それよ、冷たすぎるの。普通なら、女の子が泣いてたら、どんな思惑があったにせよ、一応はどうしたのかくらい聞くでしょ。友達なんだから。でも相手はひと言も触れなかった。そこが不自然なのよ。尾行してるとき、気づかれてたんじゃない?」

 妻にそう言われて、俺も少し自...

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