第57章 仮面の下

藤咲静香・私の視点

別荘のデッキチェアに身を沈め、赤ワインをゆっくりと口に含む。気持ちは穏やかで、満たされていた。壁の大型モニターの向こうで、ひとりの男がこちらをまっすぐ見据えている。

「藤咲静香。あの時、盛天グループを奪い損ねた。霧島雲の奴が逆に噛みついてきて、俺はここまで痛めつけられた……! 納得できるか。長年仕込んで、ようやく霧島雲の側近を寝返らせてチップを盗ませたのに、あいつの動きが早すぎる。今は行方不明だ。必ず探し出せ!」

私は静かに頷き、モニターに映る藤咲保夫の顔を見つめ返す。

「大丈夫よ、お父さん。私が見つける。責任の押しつけも完璧——霧島雲は白井家と黒鳴家が組んだと思...

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