第66章

綾辻絃葉視点

松本春子の問いかけを聞いた瞬間、石川成浩の口元がぐにゃりと歪んだ。獣みたいな笑み。

「全員、押さえろ! 俺に逆らうってのは、命が惜しくねぇってことだ!」

遠野瑛士が私をさっと背中にかばい、左腕で飛び蹴りを受け止める。直後、鋭い返し蹴り。襲ってきた男が派手に吹き飛び、床を転がった。

ほとんど同時に、今度は三人が拳を振り上げて突っ込んでくる。

遠野瑛士は全部はさばけない。ひとつは受け、蹴りで一人を退けたが、残りの衝撃が身体を揺らし、数歩よろめいて下がった。

それを見て、連中の目つきが変わる。

抵抗してるのは遠野瑛士だけ。ほかは怯えて縮こまっている。だから――狙いは一箇...

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