第71章

浅川正平視点

「……何だって? 俺が狙われてる?」

妹はこくりとうなずき、短く息を吐いた。

「正平兄さん。あの時、意地を張って家を出て、『家の力なんか借りなくても成り上がってやる』って啖呵を切ったでしょ。でも、お兄さんはこの数年で家の中を全部固めたの。兄さんが戻ってきて相続を奪いに来るのを警戒して、ずっと兄さんの動きを見てた」

胸の奥が、嫌な形で冷えていく。

「広場のこのバーも、もうとっくに気づかれてる。お兄さん、ここにも出資してる。会社にいる高橋平生……あれも、お兄さんが置いた駒。兄さん、絶対に油断しないで」

妹の言葉に、俺は重くうなずいた。

「……分かった。気をつける」

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