第72章

綾辻絃葉視点

 私は目の前の男を見つめた。面識はない。けれど、その表情を見れば分かる。高橋平生。たぶん、こいつだ。

 案の定、高橋平生は唾を吐くみたいに言い放った。

「全員、さっさと失せろ。店の前で邪魔するなら通報するぞ。警察にまとめてしょっぴかせてやる」

 浅川正平の顔がすっと冷える。彼は振り返り、低い声で返した。

「こいつらは俺が呼んだ手伝いだ。どこが邪魔なんだよ」

 すると高橋平生は石川成浩たちを見回し、わざとらしく腹を抱えて笑った。

「手伝い? こいつらが? どいつもこいつも人相悪すぎだろ。客が逃げるわ、はははっ」

 私は一歩前に出る。

「それはあなたが心配すること...

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