第10章

千堂誠也は、怒りのあまり笑ってしまった。もう一度かけ直した途端、返ってきたのは着信拒否のアナウンス。

理性が焼き切れそうになる。奥歯を噛みしめ、低く吐き捨てた。

「榎本日織……上等だ」

「――俺に捕まらないよう祈れ」

眉間に深い皺。顔色は、墨でも流したみたいに沈んでいる。

もう決めた。

必ず日織を縛って連れ戻し、徹底的に罰を与える。

自分を怒らせた代償を、骨の髄まで叩き込んでやる。

ソファに座っていた川島羽美は、千堂誠也の怒りを眺めながら、瞳の奥で怨嗟を燃やした。

榎本日織。

また、榎本日織。

――クズ。

消えたなら、消えたままでいればいいのに。

どうして、戻ってく...

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