第15章

「……ちゃんと、説得してやってくれ」

千堂誠也が口にできたのは、結局それだけだった。

川島羽美が書斎を出ていくのを見届けてから、彼は引き出しを開け、煙草を一本取り出して火を点ける。

白い煙がゆらゆらと立ちのぼり、誠也の表情を覆い隠した。小さく息を吐くと、こめかみの奥がずきりと痛む。

……

一方その頃。

川島羽美は書斎を出ると、葉月の部屋の前まで歩き、軽くノックした。

心の底では鼻で笑いながら、声だけは心配そうに整える。

「葉月? 私よ。どうしたの、何があったのかおばさんに話してくれない?」

当然、葉月は開けない。部屋の中はしん、と静まり返っていた。

羽美の瞳に、苛立ちがち...

ログインして続きを読む