第167章

「……うん」

榎本日織は口を開きかけ、結局は俯いて――正直に認めた。

東雲相馬は最初から答えなど分かっていた。

それでも、日織の口からはっきり告げられた瞬間、胸の奥に溜めていた苦いものが一気にこみ上げてくる。

「……どうして?」

榎本日織は顔を上げ、目にちょうどいい具合の戸惑いを浮かべた。

「……どういう意味?」

本当に、分からないのだ。

東雲相馬はしばらく彼女を見つめ、それから真正面から言った。

「どうして君は、千堂誠也にだけ特別なんだ。日織……俺が君を信じきれなかったのは、俺が悪い。だけど、君を疑ってたわけじゃない。疑ってたのは俺自身だ」

「君が俺を好きじゃないって思い...

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