第173章

病院を出たあと。

東雲相馬は榎本日織を連れて研究院へ戻った。

だが一連の出来事のせいで、車を降りる段になっても日織は魂が抜けたみたいにふらふらしていて、視線の焦点も合っていない。そこにあるのは、焦りと茫然。

その様子に相馬は胸がざわついた。焦るばかりで、どう支えればいいのか分からない。

日織のオフィスまで送り届け、向かいの椅子に腰を下ろす。相馬は息を整え、言葉を選びながら口を開いた。

「日織、しっかりしろ。今の状況は少なくとも、六年前の件が事故じゃないってことだ。君を狙った――陰謀だ。たぶん、君だけじゃない。千堂家ごと巻き込まれてる可能性が高い」

「ここで沈んだまま抜け出せなかっ...

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