第18章

「榎本さん、まさか二度目がこんな場だとはな」

「今朝俺に診せに来た時点で、もう俺の正体は分かってたんだろ?」

黒崎正明は薄く笑い、榎本日織の前に湯呑みを置いて、茶を静かに注いだ。

日織は湯呑みを取り、ひと口すすってから、隠す素振りもなく単刀直入に言った。

「ええ。会長のお立場は最初から分かっていました。診察の時に話しかけたのも……正直、機会を作りたかったからです。回りくどいですけど、私なりの賭けでした」

黒崎は小さくうなずき、どこか気だるげに言う。

「榎本さんの腕は認めてる。だが、俺と組みたいなら“札”が要る。何を持ってる?」

話が進むと悟った日織の目が、ぱっと明るくなる。

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