第20章

「誠也、誠也?」

川島羽美は窓辺に立つ千堂誠也を見つめ、何度も名を呼んだ。

けれど、千堂誠也は返事ひとつしない。

その沈黙が不気味で、羽美の胸に小さなざわめきが広がる。

彼女はベッドからそっと降り、足音を殺して誠也の横へ移った。つられて窓の外を覗き込む。

「誠也、何を見てるの?」

それでも、誠也は答えない。

視線の先にいたのは、涼太を連れて立ち去る榎本日織だった。

羽美はようやく相手の顔を認め、身体がぴくりと強張る。

――榎本日織。

本当に、戻ってきたのだ。

最近の誠也の不自然さも、これで腑に落ちた。やはり気のせいではなかった。

胸の奥から、黒い感情がじわりと湧き上が...

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