第26章

榎本日織は優斗と涼太が口を開く前に、まっすぐ自分の部屋へ戻った。

二人の忠告が、胸の奥で引っかかっている。日織はベッドに腰を下ろし、指先でスマホの縁をなぞりながら、静かに考えた。

――葉月は、ずっと家を怖がっていた。

以前は理由が分からなかった。けれど今は、分かりすぎるほど分かる。

川島羽美が裏で手を回しているに違いない。自閉症研究センターの話だって、きっとあいつの入れ知恵だ。

悔しさが喉に詰まって、日織はひとりごちた。

「……分かってたなら、あの時あんなに意地張らなきゃよかった。千堂誠也とケンカばかりして、肝心の葉月のこと、ちゃんと伝えられてない」

はぁ、と重く息を吐く。

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