第29章

「黒崎会長、それはそちらの事情です。私が考える必要はありません。私に必要なのは薬材だけ」

「協力っていうのは、双方の誠意があってこそでしょう。黒崎会長だって、いいとこ取りはできませんよ。圧だけ全部こっちに投げるなんて……申し訳ないですけど、受け入れられません」

「それに、私が黒崎会長に売るのは“技術”です。これだけ大きな会社を構えているのに、そんな小さなつまずきすら片付けられないんですか? それなら、御社の実力を疑わざるを得ませんね」

榎本日織は脚を組み、力の抜けた姿勢で椅子に預けた。

無防備に見えるのに、どこか気だるい余裕だけが漂っている。

黒崎正明は言葉を詰まらせ、初めて、改ま...

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