第49章

「……隙を突いて入り込んできたってことね」

榎本日織は、男の遠回しな脅しを聞かされ、胸の奥に鬱屈と苛立ちが溜まっていくのを感じた。

千堂誠也は唇の端をかすかに上げたまま、漆黒の瞳で日織を見据える。まるで――心の底まで覗き込まれているみたいに。

「そうだとして、何か問題でも? 知りたくないならいい。自分で調べるって言うなら、それも自由だ。俺の条件を呑む必要はない」

言い方は淡々としているのに、態度はどこか気だるげで余裕がある。日織が断れないと、初めから決め込んでいる顔だった。

――実際、断る理由がない。

今日の千堂誠也の言葉は、どれも冷たくて容赦がない。けれど、全部が現実だった。

...

ログインして続きを読む