第54章

翌日も、榎本日織は変わらず黒崎グループに顔を出した。

ここ最近のプロジェクトは、彼女が現場に立って追加で指導しないと進まないものばかりだ。研究所のほうは東雲相馬がしっかり見ている。大きな問題はなく、二人の役割分担も明確だった。

――ただ、今日はおかしい。

日織がラボに足を踏み入れた瞬間、空気が微妙に歪んでいるのが分かった。視線が、あちこちから刺さる。露骨ではない。けれど、わざとらしく逸らされるような、あの感じ。

違和感の正体に気づきはしたが、今は勤務時間だ。日織は気に留めないふりをして、淡々と今日の作業段取りを組み、指示を出していく。

けれど、いつもなら「榎本さん、これって……」と...

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