第57章

「榎本さんって、ほんと魅力あるよな。男が次から次へと――」

榎本日織が通話を切ったのを見届け、さっきまでの会話を思い返した千堂誠也は、露骨に機嫌を損ねていた。

とくに、榎本日織が東雲相馬を気遣う様子が癪に障る。再会して以来、彼女は毎日、千堂を苛立たせるか、苛立たせに来るかのどちらかだった。

そのくせ黒崎正明のような男には、やけに細やかで優しい。

胸の奥がじりじりと酸っぱくなり、千堂の言い方も、ますます嫌味っぽくなる。

だが榎本日織は、そんな台詞にはとっくに慣れていた。痛くも痒くもない。

むしろ千堂が不愉快そうにしているのを見て、彼女の気分は妙に晴れていく。

「そうね、魅力がある...

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