第71章

千堂誠也は苛立ちのあまり、その場で「もう知らない」と投げ出しかけた。

だが、十分も経つと気持ちはすっと落ち着く。

結局スマホを取り出し、海外にいる友人の風間英良へ電話をかけた。

風間英良は出るのが早い。繋がった瞬間、からかうような声が飛んでくる。

「千堂社長が俺に電話なんて、珍しいじゃないですか」

千堂誠也は茶化しに付き合わず、単刀直入に用件を告げた。

そして唇をきゅっと結び――最後は、どうにもならないと悟ったように吐き出す。

「……彼女の先生が、俺の援助を受け取らない。悪いが、お前に頼む」

千堂誠也の「本当の友人」である風間英良は、結婚の事情も当然知っている。

ただ、榎本...

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