第16章

そして彼は、倉持寧音の目の前で白井紗夜を解雇した。

杉山海斗の命令を聞いた白井紗夜は、信じられないとでも言いたげに目を見開き、顔色を失う。

次の瞬間、唇をきゅっと噛み、無垢で可哀想な被害者の顔を作って俯いた。けれど、杉山海斗から死角になる角度で倉持寧音へ向ける視線だけは――露骨な挑発に満ちていた。

「若様、奥様。私、本当に、どうして両親が奥様にあんな訳のわからないことを言いに行ったのか分かりません。私、何も知りません。あれは両親が勝手にしたことで、私とは関係ありません」

「たぶん……この半年、お給料が良かったから。それに私、雇い主が倉持寧音様だってよく話してて……寧音様が、昔みたいに...

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