第17章

杉山海斗は、倉持寧音の真剣な横顔を見た瞬間、胸の奥がずしりと沈んだ。

今の倉持寧音は、紅い唇をきゅっと結び、瞳の色は柔らかいのに、視線だけは揺るがない。

海斗は彼女をよく知っている。

弱々しく見えても、芯は折れない。いったん決めたら、誰にも覆せない。

白井紗夜のために寧音を失望させるなんて、割に合わない。

そう思って、紗夜をいったん帰らせ、あとで別の形で戻せばいい――考えを変えかけた、そのとき。

白井紗夜が海斗の迷いを嗅ぎ取った。

いきなり海斗の手を振り払い、寧音の手元へすべり込むように跪く。

血で赤く染まった手で、紗夜は寧音の腕にしがみついた。

「寧音、お願い……この仕事...

ログインして続きを読む