第20章

杉山海斗が千堂暁のいる病院へ駆けつけた頃、倉持寧音はちょうどリハビリを終えたばかりだった。

千堂暁は合間を縫って、彼女の車椅子を押して外へ出る。

――そこへ、運の悪いことに。怒りを顔いっぱいに貼り付けた杉山海斗が現れた。

「千堂暁……寧音は俺の妻だ。手を放せ!」

車を止めるなり、杉山海斗は数歩で距離を詰める。千堂暁を押しのけ、倉持寧音の車椅子を奪い返そうとした。

だが、千堂暁は手を離さない。

真正面から杉山海斗を見据え、口元を薄く歪める。その目には、怯えの色など欠片もなかった。

「ここは病院です。倉持寧音があなたにとって何であろうと、まず俺の患者だ」

「……俺が手を出せないと...

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