第21章

腹を括った白井紗夜は、胸の奥で煮えたぎる怒りをぐっと呑み込み、杉山家の屋敷を静かに観察しはじめた。

初めて足を踏み入れたそこは、まさに豪奢の一言だった。杉山家の人間が暮らす数棟の別邸だけではない。遠縁の親族や使用人たちが住む建物まで、いくつも点在している。

敷地は、目がくらむほど広い。

植栽はよく手入れされ、鳥や小動物の気配も濃い。近くには有名な公園があるらしく、風まで澄みきっていた。深呼吸するだけで肺が洗われる。

――杉山海斗は杉山家のひとり息子で、そのまた唯一の跡取り。

自分が腹の子を産みさえすれば、この目の前にあるすべてが、自分とこの子のものになる。

そう思うと、胸の底がぞ...

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