第33章

倉持寧音が久しぶりに杉山家の旧宅へ戻ると、杉山尚典と橋本礼子が住むあの邸宅は、すでに明かりで満ちていた。

使用人たちがせわしなく行き来し、やけに騒がしい。

「若奥様、奥様から別の用を言いつかっております。中へはお一人でお入りください、と」

運転手が車のドアを開け、寧音を抱えて降ろすと、そのまま車椅子に座らせた。

てっきり中まで押してくれるものだと思ったのに、運転手は車へ戻り、そのまま行ってしまう。

――わざとだ。

橋本礼子の嫌がらせ。寧音にはすぐ分かった。

自分で車椅子をこぎ、脇のスロープから上がろうとして、足が止まる。スロープの上に、いつの間にか植木鉢が山ほど置かれていた。

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