第34章

「尚典、見なさいよ。これがあなたの息子が嫁にもらった女! 私たちの目の前で――いったいどんな躾をされてきたの!」

「お義父さまが何を言ったにせよ、倉持寧音は杉山家の嫁でしょう。人に土下座させるなんて……。海斗は命を救われた恩に縛られてるのよ。あの子は、寧音が何をしても甘やかして庇う」

「子どもは分別がない。親の私たちが、倉持寧音に海斗を引きずり落とされるのを黙って見ていられる? だったらこの機会に、海斗に離婚させましょう」

橋本礼子は、こんな状況でも平然としている倉持寧音に目を向けた。視線がぶつかると、口元に得意げな笑みが浮かぶ。

一年、耐えに耐えた。今日ようやく、切り札を掴んだのだ...

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