第37章

「ご両親にも、お腹の子にも……ちゃんとした、完璧な家庭を用意してあげたいんです。でも、分かってる。私には寧音さんみたいな運がない。海斗さんが、あの人だけを一途に想い続ける――そんな奇跡は起きないんです!」

最後の言葉と同時に、白井紗夜は杉山海斗を切ないほどの眼差しで見上げた。

その瞳にあるのは、羨望と、頼りなげな弱さ。――悪意も嫉妬も、どこにもない。

自分は純情で、善良で。そう見せるための目。

「寧音みたいな運がない? 違うだろ。おまえが役立たずなだけだ!」

「産まれたときに絞め殺しときゃよかった! ここまで育てて何の意味がある! 人の子を孕んでるくせに名分もねえ、家ひとつ手に入れ...

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