第56章

「……は?」

「浮気?」

「杉山海斗、あのクズが浮気したっての?」

上原未菜は水を飲んでいた最中で、倉持寧音の言葉を聞いた瞬間――ぷはっと噴き出した。

だからずっと、あいつだけは気に食わなかったんだ。倉持寧音には釣り合わないって。

結局、人として終わってる。

「マスコミもさ、N市ニュースも毎日『杉山海斗は寧音をどれだけ愛してるか』だの流してるくせに、裏じゃ不倫とかマジで最悪!」

「はあ? キモっ! クズ男! 杉山グループ潰れろ!」

上原未菜の毒舌は、倉持寧音の胸の奥を妙に軽くした。

自分のために怒ってくれる姿を眺めながら、寧音は淡々とグラスを口元へ運び、一口だけ水を含む。

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