第65章

夜が白みはじめるころ、杉山海斗は欲求を満たし、満足げにハンドルを握って家へ戻った。

倉持寧音の隣で一時間ほど眠ったところで、ちょうど朝日が寝室へ差し込む。

寧音が目を開ける。

――昨夜、真夜中に出ていったはずの男が、いつの間にか戻ってきている。

満ち足りた寝顔。鼻先をかすめる、白井紗夜特有の香水の残り香。

寧音は口元だけで冷たく笑い――次の瞬間、容赦なく足を突き出した。

どすん。

「うぐっ……」

「寧音、なんで俺、床にいるんだ?」

ベッドから蹴り落とされ、海斗は目をこすりながら、訳が分からないという顔で寧音を見上げる。

「寝相が悪かったんじゃない? 熟睡して寝返りでも打っ...

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