第67章

上原保美も、当然それを目にしていた。

しかも、相手の女が白井紗夜だと気づいてしまった。

「倉持さん……やっぱり、戻ったほうが……」

人生で初めて不倫の現場にぶつかった上原保美は、頭が真っ白になっている。

けれど倉持寧音は、彼女の言葉を聞かなかった。

コンコン、と扉を叩く。

「海斗、入ってもいい?」

声の震えだけは、徹底して殺す。

扉の向こう。

杉山海斗は白井紗夜を腰に抱えたまま、倉持寧音の声を聞いた瞬間、全身がびくりと跳ねた。

白井紗夜の頭を押さえつけ、乱暴にデスクの下へ押し込む。

「寧音、どうしてここに……?」

海斗は白井紗夜に目だけで『余計な真似をするな』と釘を刺...

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