第69章

倉持寧音は、電話が橋本礼子に怒り任せに切られたのを耳にして、あの女がそう簡単に自分を見逃すはずがないと悟った。

――下手をすれば、こちらが投げた提案に乗って、本当に動くかもしれない。

橋本礼子が何を考えているのか。

自分の思い描いた通りに事が運ぶのか。

倉持寧音は余計なことはせず、ただ静かに待った。

そして土曜日。

朝はいつも通り起きて、身支度を整え、リハビリをして、昼食をとる。

午後になって、杉山海斗から電話が入った。

これから迎えに行く。ヘアセットをして、服も着替えて、一緒にオークションへ行こう――そういう話だった。

倉持寧音は、橋本礼子は口だけで何もしないのかと、少し...

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