第72章

彼はすぐさま倉持寧音のそばにしゃがみ込み、両手で彼女の手を包むように掴むと、そのまま自分の頬へ押し当てた。

「寧音……俺が悪かった。守りきれなかった」

「それに家の使用人もだ。俺が給料を払ってるくせに、母さんの手先みたいに動きやがって……きっちり罰を与える!」

杉山海斗は周囲を見回す。だが、倉持寧音のそばに使用人の姿はない。

「使用人なら、もう帰ったわ」

「でも一人消えたところで、次が来る。三人目も、四人目も……母さんが私を監視させる人間なんて、いくらでも増える」

「杉山海斗。私を追い詰めてるのは、あなたのお母さまよ!」

倉持寧音は手を引き抜いた。

そして車椅子の向きを変え、...

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