第5章

亜理亜視点

目が覚めたとき、何かがおかしかった。空気が濃く、奇妙に感じられる。鳥たちさえ静まり返っている。

砂を払いながら身を起こす。大和はもう起きていて、水際に立ち、水平線を見つめていた。全身がこわばっているように見える。

「大和?」

彼は振り向かない。「嵐が来る。でかいやつがな」

彼のそばまで歩み寄り、目を細めて空を見上げる。雲は本来あるべき色よりずっと暗い。胃がねじれるようだ。

「どうしてわかるの?」

彼がようやく私の方を向いた。「災害映画のために覚えたんだ。まさか現実で役に立つとは思わなかったが」彼は海を指差す。「波を見てみろ。それに風向きがころころ変わってる...

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