第11章
深夜、伊藤尚久はマンションのベッドで寝返りを繰り返していた。
『青空アニメーション』の最新プロジェクトの締め切りを乗り越えたというのに、彼は一向に眠りにつけなかった。
この不眠はもうずいぶん長く続いている。友佳子と別れてからというもの、彼の睡眠の質は日に日に悪化していた。
スマートフォンの冷たい光が彼の疲れた顔を照らす。彼は退屈しのぎにSNSをスクロールしていた。
不意に、アニメをテーマにしたプロポーズ動画が目に飛び込んできた。サムネイルには、井の頭公園の桜の木の下で、岩岸友佳子が満面の笑みを浮かべている。その瞬間、全身の血が凍りつくような感覚に襲われた。
「ありえない……...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
10. 第10章
11. 第11章
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