第12章

新宿のモダンホテルの最上階にある宴会場は、アニメをテーマにしたウェディングホールへと趣向を凝らして飾られていた。

周囲には私がデザインしたキャラクターや背景が投影され、ウェディングケーキには私と月島正海のミニチュア立体フィギュアが乗っている。

ウェディングドレスに身を包み、月島正海の隣に立つ私は、この上ない幸福を感じていた。

アニメ専門学校時代の大学の同級生たちも皆、結婚式に参列してくれた。その中には伊藤尚久の姿もあった。

「あいつが何かやらかすんじゃないかって心配かい?」

私の視線が伊藤尚久に留まっていることに、月島正海は気づいたようだ。

「少しだけ……」

私は小...

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