第7章

アニメ業界のパーティーが終わった後、伊藤尚久は一人、青空アニメーションの会議室に座り、指でひっきりなしにテーブルを叩いていた。

彼は今も、パーティーでの友佳子の振る舞いに腹を立てていた。

以前、結婚を迫ってきたのはまだしも、今度は婚約者の役まで誰かに演じさせるとは。

隣のオフィスから田中が顔を覗かせ、尋ねてきた。

「伊藤先輩、友佳子さん、最近会社に来てないんですか?」

「あいつか。まだ拗ねてるんだろ。放っておけ」

伊藤尚久は軽蔑したように手を振った。

「前々からずっと結婚したいってうるさくてな、俺が断ったら、これだ。不機嫌になりやがって、本当に面倒な女だよ。こんなに早...

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